2019年10月1日火曜日

EDRA受験記

こんばんは、麻酔科Iです。なかなか秋が深まりませんね。
今回は区域麻酔の若手のホープ、T先生にEDRA受験記を書いてもらいました。
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EDRA part2 2019 ESRA@BILBAO

後期研修医のTです。

2019.9.9にEDRA part2を受験してきましたので報告させて頂きます。

EDRAとは、約40年の歴史を持つ欧州区域麻酔学会ESRAが、2006年から行っている認定試験です。

日本でもこれに追随するかたちで、2019よりJRACEが始まりましたね。

受験のきっかけは、当科のN先生が2017 ESRAルガーノでpart2を受験された時に、自分も居合わせたからです。

そのまま、フランクフルトに移動し、Paul Kessler先生の指導を受け、それから勉強開始しました。
問題集を解きつつ、国内外のワークショップに参加しました。

2018.4 worlds congress NYCでpart1(3時間筆記)を落としましたが、2018.9 ESRAダブリンでpart1をリベンジし、今回part2(40分実技口頭試問)受験でした。

私の担当だったのはNarinder Rawal先生とSlobodan Gligorijevic先生でした。
後で調べたところ、前者は現行の教授かつEDRApart 1のvice chairで、後者も以前にESRAのpresidentやEDRA vice chairをされたとても偉い先生方でした。

口頭試問ではまず挨拶後、皿上の折りたたまれた紙片から一つ引き、開かず試験官に手渡します。
そこにquestion1-4までのテーマが記載されていて、それに沿って試験が進んでいきます。

indication、contraindication、complicationなどの基本の質問事項はあるようですが、試験官により質問が変わり、さらに返答に寄って展開も変わるようです。
基本項目以外は試験官に一任され、加点方式で積み上げていくのかもしれません。

1問目 landmark
Supra/Infra BPB
腕神経叢について概要を聞かれた後、Supraclavicularについての質問展開になりました。
体表の解剖、ランドマーク法、適応、禁忌、合併症について聞かれます。
landmarkの項目だったのですが、途中からエコーを指示され、ライブモデルで画面上の構造物やエコーガイド法での説明も求められました。

2問目 ultrasound
Popliteal sciatic
まずは概要について聞かれた後、ライブモデルに移行し、レジデントにどうやって説明するの?教えて?と質問されました。
1問目と同じように体表から解剖を説明して、エコーで描出を指示され、同様に適応、禁忌、合併症を一通り質問されます。
話の流れは忘れましたが、私がタニケットペインについて返答した際に、タニケットペインについての言及も加わりました。

3問目 clinical case
高齢女性の大腿骨骨折のcase scenarioで、状況と合併症を説明され、君ならどうする?と質問されます。
区域麻酔なのか全身麻酔なのか、それぞれの適応や理由を聞かれました。
それからneuraxialについて話が広がり、最後はmultimodal analgesiaについて質問が波及しました。

4問目 complication
ブロック後に患者が興奮したけど、何を疑いますか?と聞かれました。

LASTの疑いと理由を述べると、そこからLASTの言及になります。
局麻の特性、症状、lipid emulsionなど、LASTガイドラインの内容を次々と質問されました。

40分の質疑応答が終わると、御礼を述べ、退室しました。

今回EDRA part2にチャレンジするにあたり、多くの先生方に御助言を頂き、感謝申し上げます。

part2受験にまで到ったのも、既にEDRAを取得されている先輩がいる事に加え、留学生を積極的に受け入れている当科だからこそ、医学英語でのdisscussionの機会に恵まれたからだと思います。

非常に恵まれた環境で研修している事を実感しました。

結果は試験から一カ月ですが、合否を真摯に受け止め、今後も大好きなregionalの勉強をコツコツと続けて行きたいと存じます。

区域麻酔は、麻酔科の他分野からすると比較的新しく、今まさに盛り上がりつつある分野だと思います。

今後手術室で必要なスキルの1つになっていくと思いますので、これからも一緒に勉強させて頂きたいと思います。

写真は、受験後のcadaver workshopでN先生と。試験官のSlobodan Gligorijevic先生と。