早いもので、もう8月ですね。
今年も猛暑なのでしょうか。皆様お元気でいらっしゃいますか?
マレーシアの天候は全く変わりなく、今日も33℃です。
イスラム圏では7月半ばから断食の月が始まり、今日が最終日です。
明日からは断食明けの大祭で、日本の年末のような雰囲気です。
手術件数は大幅に減り休みを取る人が増え、皆そわそわしているように見えます。
マレーシア人が留守中の院内を守るのは、ほとんど非イスラム教徒の外国人ばかりになります。
さて、私がマレーシアに来た直後にドイツに臨床留学したマレーシア人の女性麻酔科医が
1年弱の留学を終え、先日マレーシアに帰国しました。
普段スカーフをかぶっていて年齢不詳だったこともあり、独身だとばかり思い込んでいました。
が、なんと既婚者であるばかりか、6人(!!!! 16歳〜3歳)のママであることがわかり、非常に驚きました。
留学中は、会社員のだんな様がマレーシアに残り、ベビーシッターと子供達の面倒をみてくれていたとのこと。
日本ではほぼ考えられませんよね!
と言うことで、今回はマレーシアの働く女性事情について・・。
マレーシアはイスラム教を国教とします。
イスラム教と言うと、保守的で男尊女卑(マレーシアでも男性は最大4人までと結婚できます!)、
女性は社会に出ることを許されていない・・というイメージを私はもっていました。
が、働く女性事情に関しては全く異なります!
ここ、マレーシア国立心臓病センターでも、働く女性が非常に多いです。
院長は循環器内科の女医さんですし(女子医大も院長は女性ですね!)、麻酔科の部長も女性です。
約10人いる心臓外科のConsultant(日本でいう指導医にあたります)にも2人、もうすぐConsultantになる女医さんも1人います。
ほぼ毎日2〜3件の手術をこなし、たくさんの重症患者さんをかかえる心臓外科医でも、
皆結婚して複数子どもがいることも驚きです。
マレーシアの医大は半数以上が女子学生だそうで、
特に麻酔科は多いところだと7割以上が女性だそうです。
しかも、マレーシア人は皆、子だくさん!5人6人は普通です。
そのためか、医師、ナース共、働く妊婦さんがとにかく多いことに驚かされます。
「いつまで働くの?」ときくと、ほぼ全員「産まれるまで」と答えが返ってきます。
なんと出産数日前〜陣発まで働き、出産後は1〜2ヶ月で復帰するとのこと。
医師でもナースでも妊娠9ヶ月までは夜勤も当直もします。
驚くことに、妊婦さんだから軽い症例、早く終わる症例、・・などという配慮も一切‼ありません。
急変が多くCPRは日常茶飯事のICUの夜勤や、全く眠れない当直であってもです。
あまりに周囲からの配慮がないため、麻酔科の女医さんが出産予定日の3週間前に最後の当直をする日まで、
私は彼女が妊婦さんであることを知りませんでした。
ずいぶんふくよかな人だな〜と思っていたくらいです(笑)。
心臓外科の女医さんに至っては、手術中に陣発したにも関わらず、
「初産で時間がかかるから大丈夫」と言って手術を続行したという武勇伝(?)まであります。
これらの背景には、マレーシアの賃金が少なく共稼ぎでないと経済的に苦しいという事情(こちらのConsultantの月収は日本の勤務医の収入よりもしかしたら多いくらいのようですので、物価を考えると全く苦しくなさそうですが)と、インドネシア人やフィリピン人のメイド・ベビーシッターが利用しやすいという事情があります。
そのため産休が1〜2ヶ月ですみ、たとえ6人立て続けに子供を産んだとしてもブランクは飛び飛びに計6ヶ月という、夏休みとほとんど変わらないレベルです。
いつ出産しても医師としてのトレーニングにほとんど影響しないことは、
すごいけれど大変そうだなぁ、タフだなぁと思って見ています。
しかし、ベビーシッターが利用しやすいこと以上に、
男女とも家庭・子育てに対する考え方が日本人と違うことが大きいように思います。
日本ですと女性は出産後、家庭のことや子育てができる範囲内で仕事に復帰することも多いのではないでしょうか。
しかしマレーシア人は、ママだけが仕事をセーブするのではなく家のことは夫婦のどちらかやれる方がやればいいし、
他人に任せられるものは任せたらいいじゃない、という人が多いです。
子どもがさみしがらないのかなぁ、と思うこともありますが…。
皆仕事が終わると一目散に帰宅し、同僚と食事に行ったり
飲みに行ったりはほとんどしません(お酒を飲まないイスラム教徒でなくても)。
「仕事をしていて子どもと一緒に過ごせる時間が短いから、
家事はメイドさんに任せて、家にいる時間はなるべく全部家族に使うようにしている」
とマレー人麻酔科医が言っていました。
もちろんマレーシアにも、出産後仕事を辞めたりパートを選ぶ女性もいます。
が、その割合は日本に比べるとかなり少ないようです。
女性医師が自分の人生設計をするのには、意外ですがマレーシアの方が選択肢は多いのかもしれません。
文化が違いますので、日本でマレーシア人ママさんのように仕事を続けるのは難しいかもしれません。
が、女子医大はさすがに女子医大なだけあり、ママとしてのプライベートの充実と麻酔科医としてのキャリアを両立されている先輩方がたくさんいらっしゃいます。先輩ママさん方のそれぞれの家庭の事情や子どもの成長に合わせてフレキシブルに医局が対応してくれる様子や、医局の先生方が自然に協力し合う様子は、これからの人生設計を考える若い入局者にとってとても心強く映ると思います。
マレーシアでは考えられないほど、妊婦さんやママさんへの配慮がきめ細かいことも、
女性として大変ありがたいことです。
マレーシアの女性医師が置かれた環境をうらやましいと思うこともある反面、眠れない当直で院内を駆け回る最中に更衣室で搾乳し、せっせと冷凍庫に保管している産後1ヶ月の同い年の麻酔科医を見ると、少々気の毒な気もする今日この頃です・・・。
今年も猛暑なのでしょうか。皆様お元気でいらっしゃいますか?
マレーシアの天候は全く変わりなく、今日も33℃です。
イスラム圏では7月半ばから断食の月が始まり、今日が最終日です。
明日からは断食明けの大祭で、日本の年末のような雰囲気です。
手術件数は大幅に減り休みを取る人が増え、皆そわそわしているように見えます。
マレーシア人が留守中の院内を守るのは、ほとんど非イスラム教徒の外国人ばかりになります。
さて、私がマレーシアに来た直後にドイツに臨床留学したマレーシア人の女性麻酔科医が
1年弱の留学を終え、先日マレーシアに帰国しました。
普段スカーフをかぶっていて年齢不詳だったこともあり、独身だとばかり思い込んでいました。
が、なんと既婚者であるばかりか、6人(!!!! 16歳〜3歳)のママであることがわかり、非常に驚きました。
留学中は、会社員のだんな様がマレーシアに残り、ベビーシッターと子供達の面倒をみてくれていたとのこと。
日本ではほぼ考えられませんよね!
と言うことで、今回はマレーシアの働く女性事情について・・。
マレーシアはイスラム教を国教とします。
イスラム教と言うと、保守的で男尊女卑(マレーシアでも男性は最大4人までと結婚できます!)、
女性は社会に出ることを許されていない・・というイメージを私はもっていました。
が、働く女性事情に関しては全く異なります!
ここ、マレーシア国立心臓病センターでも、働く女性が非常に多いです。
院長は循環器内科の女医さんですし(女子医大も院長は女性ですね!)、麻酔科の部長も女性です。
約10人いる心臓外科のConsultant(日本でいう指導医にあたります)にも2人、もうすぐConsultantになる女医さんも1人います。
ほぼ毎日2〜3件の手術をこなし、たくさんの重症患者さんをかかえる心臓外科医でも、
皆結婚して複数子どもがいることも驚きです。
マレーシアの医大は半数以上が女子学生だそうで、
特に麻酔科は多いところだと7割以上が女性だそうです。
しかも、マレーシア人は皆、子だくさん!5人6人は普通です。
そのためか、医師、ナース共、働く妊婦さんがとにかく多いことに驚かされます。
「いつまで働くの?」ときくと、ほぼ全員「産まれるまで」と答えが返ってきます。
なんと出産数日前〜陣発まで働き、出産後は1〜2ヶ月で復帰するとのこと。
医師でもナースでも妊娠9ヶ月までは夜勤も当直もします。
驚くことに、妊婦さんだから軽い症例、早く終わる症例、・・などという配慮も一切‼ありません。
急変が多くCPRは日常茶飯事のICUの夜勤や、全く眠れない当直であってもです。
あまりに周囲からの配慮がないため、麻酔科の女医さんが出産予定日の3週間前に最後の当直をする日まで、
私は彼女が妊婦さんであることを知りませんでした。
ずいぶんふくよかな人だな〜と思っていたくらいです(笑)。
心臓外科の女医さんに至っては、手術中に陣発したにも関わらず、
「初産で時間がかかるから大丈夫」と言って手術を続行したという武勇伝(?)まであります。
これらの背景には、マレーシアの賃金が少なく共稼ぎでないと経済的に苦しいという事情(こちらのConsultantの月収は日本の勤務医の収入よりもしかしたら多いくらいのようですので、物価を考えると全く苦しくなさそうですが)と、インドネシア人やフィリピン人のメイド・ベビーシッターが利用しやすいという事情があります。
そのため産休が1〜2ヶ月ですみ、たとえ6人立て続けに子供を産んだとしてもブランクは飛び飛びに計6ヶ月という、夏休みとほとんど変わらないレベルです。
いつ出産しても医師としてのトレーニングにほとんど影響しないことは、
すごいけれど大変そうだなぁ、タフだなぁと思って見ています。
しかし、ベビーシッターが利用しやすいこと以上に、
男女とも家庭・子育てに対する考え方が日本人と違うことが大きいように思います。
日本ですと女性は出産後、家庭のことや子育てができる範囲内で仕事に復帰することも多いのではないでしょうか。
しかしマレーシア人は、ママだけが仕事をセーブするのではなく家のことは夫婦のどちらかやれる方がやればいいし、
他人に任せられるものは任せたらいいじゃない、という人が多いです。
子どもがさみしがらないのかなぁ、と思うこともありますが…。
皆仕事が終わると一目散に帰宅し、同僚と食事に行ったり
飲みに行ったりはほとんどしません(お酒を飲まないイスラム教徒でなくても)。
「仕事をしていて子どもと一緒に過ごせる時間が短いから、
家事はメイドさんに任せて、家にいる時間はなるべく全部家族に使うようにしている」
とマレー人麻酔科医が言っていました。
もちろんマレーシアにも、出産後仕事を辞めたりパートを選ぶ女性もいます。
が、その割合は日本に比べるとかなり少ないようです。
女性医師が自分の人生設計をするのには、意外ですがマレーシアの方が選択肢は多いのかもしれません。
文化が違いますので、日本でマレーシア人ママさんのように仕事を続けるのは難しいかもしれません。
が、女子医大はさすがに女子医大なだけあり、ママとしてのプライベートの充実と麻酔科医としてのキャリアを両立されている先輩方がたくさんいらっしゃいます。先輩ママさん方のそれぞれの家庭の事情や子どもの成長に合わせてフレキシブルに医局が対応してくれる様子や、医局の先生方が自然に協力し合う様子は、これからの人生設計を考える若い入局者にとってとても心強く映ると思います。
マレーシアでは考えられないほど、妊婦さんやママさんへの配慮がきめ細かいことも、
女性として大変ありがたいことです。
マレーシアの女性医師が置かれた環境をうらやましいと思うこともある反面、眠れない当直で院内を駆け回る最中に更衣室で搾乳し、せっせと冷凍庫に保管している産後1ヶ月の同い年の麻酔科医を見ると、少々気の毒な気もする今日この頃です・・・。
今回はおもしろい写真がなかったので、クアラルンプール1番の観光名所、ツインタワーの写真にしました。
マレーシア国立心臓病センター(IJN)はツインタワーから徒歩圏内にあります(^ ^)
それでは皆様、猛暑に負けず健やかにお過ごし下さい。
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